外壁塗装の工程の一つとして、高圧洗浄というものがあります。
高圧洗浄機という機械を使って高い圧力で水を噴き出し、こびりついた汚れを落とす作業です。
水しぶきが周囲に飛ぶので、施主側にしてみればトラブルに発展しそうでハラハラするものではありますが、丁寧に行うことで塗料の密着性を高められる大事な工程でもあります。
時間をかけるかどうかで、仕上がりに大きな違いが出るでしょう。
今回の記事では、外壁塗装に伴う高圧洗浄の作業についてご紹介したいと思います。
何をするのか分からず不安になっている方がいれば、ひとつ安心できるとうれしいです。
■高圧洗浄は何の作業？
建物にはさまざまな汚れがついています。
雨は大気中の塵埃を含んで落ちてくるので、乾くと濡れた場所に汚れがつきますし、畑・公園などが近くにあると土汚れが目立ちます。湿気の高い場所や水辺の近くはコケ・藻・カビが発生している場合が多く、古い塗膜はぼろぼろだったり、チョーキングで粉をふいているでしょう。
それらを放置したまま上から塗料を塗ってしまうと、当然ながら長持ちしません。
きなこもちを食べたことは誰しもあるかと思いますが、きなこが全体にまぶされているおもちはお皿にくっつかないですよね。反対に、何もついてない加熱したおもちをお皿に置いておくと、時間がたてばぴったりくっついて取るのに苦労します。塗料もそれと同じようなもので、つるつるの状態にしていたほうがきれいに塗膜を張れるのです。塗る前の基礎を整えるのが大きな理由と言えるでしょう。
高圧洗浄を怠ってしまうと1～2年後には、ぼろぼろと塗膜が剥がれていってしまうでしょう。そのため、外壁塗装では塗料を塗る前にこれらの汚れを落とすのが、通例となっています。
■高圧洗浄の手順
高圧洗浄を行う手順としては以下が一般的です。
① 足場を組んで周囲に養生シートを張る
② 高圧洗浄機で汚れや古い塗膜を落とす
③ 落とし残した汚れをすすいできれいにする
④ 乾かす
通常、高圧洗浄はほぼ丸一日かけて行われ、その後乾燥のために1～2日ほど置いてから塗装の工程に入ります。最低でも完了までに2日かかるので、これらの作業が短時間で終了することはまずあり得ないと言えるでしょう。
もちろん、ベランダがない家などは洗浄する面積が少ないため作業時間が短くなる傾向があるなど、さまざまな条件が重なれば短くなる可能性がありますが、それでも実例は少ないです。
もし乾燥が不十分だと、新しい塗料を塗っても劣化が早いため、2～3年後には剥がれ落ちてしまう恐れがあります。下地が見えると塗替えが必要になってしまうでしょう。
■バイオ洗浄について
単なる高圧洗浄では落としきれない汚れがあります。
それがカビ・コケ・藻。
お風呂場などでカビ取りをしたことがあるなら、なんとなく分かるかもしれませんが、落としきれなかったカビ汚れを放置すると、どんどんその範囲が広がっていきますよね。
外壁では表面上取れたとしても、菌が残って水面下で増殖してしまうことがあります。そうなると、塗膜の耐久性に影響がでてしまうので、塗る前の高圧洗浄で徹底的に洗浄しておかなければなりません。
そこで洗浄剤を使用して行うのが「バイオ洗浄」です。
あらかじめ濡らしておいた外壁に、噴霧器などで洗浄剤を塗布して汚れを浮かせ、時間を置いてから高圧洗浄機で汚れを落とします。流れとしては普通のカビ取りとほぼ同じです。
もちろん、洗浄剤が外壁へダメージを与えることはなく、植物成分が主な原料なので人体や環境への影響は少ないとされています。近くで植物を育てているなどの場合は、飛沫による影響が考えられるので、周囲の環境によっては相談したほうがいいでしょう。
デメリットとしては、通常の高圧洗浄よりも時間がかかる、費用が高くなることが上げられます。
通常よりも2～3倍ほどの価格に設定されていることが多いので、カビやコケが少ないなら、無理に行う必要はないと思います。
業者側からすすめられた場合は善意の可能性もありますが、明らかに押し売りとみられるものなら注意しましょう。
■費用はどうなる？
高圧洗浄の費用相場ですが、一般の会社では100～200円／m²で設定されていることが多く、バイオ洗浄なら200～300円／m²くらいです。
戸建て住宅の平均面積としては約30坪（約99m²）なので、外壁面積だと118m²であることから目安として11,800～23,600円、バイオ洗浄は全面だと23,600～35,400円くらいになるでしょう。
なお、高圧洗浄に用いられる水の水道代は、基本的に施主が負担します。
とはいえ、そこまで高い料金を請求されるとは限りません。
高圧洗浄は1分間に12～15リットルの水を消費しますが、8時間ほど作業を行ったとすると1時間につき720～900リットル、8時間で
5,760～7,200リットル使用することになるでしょう。およそお風呂29～36杯分です。
仮に大分市でこれくらいの水量を使うとすると、およそ2,000円くらいの出費になる計算になります。
普通に使っている分としては少しだけ跳ね上がるかもしれませんが、それでも大きな出費にはなりにくいです。
■雨が降ったらどうなる？
高圧洗浄中に雨が降った場合、どうなるのでしょうか。
実は作業が可能です。
もちろん塗装はできませんが、高圧洗浄中は濡れるのが普通なので、雨が降ってもとくにかまわない状況が多いんですね。ゲリラ豪雨などの激しい雨なら作業者に危険が及ぶので中断することはありますが、小雨程度ならさほど問題はありません。
また、雨が降っていると水の飛散も気にならず、取り込んでいる確率が高いので近隣に住む方の洗濯物に飛び散る心配もありません。
ただし、乾燥中に雨が降ってきた際は、塗料が塗れる状態まで再び乾かす必要があるので、工期が伸びる可能性があるでしょう。
■まとめ
高圧洗浄は外壁塗装・屋根塗装において重要な工程の一つです。
この過程を飛ばして施工を進めている業者や無料を謳っている業者は、ほとんど施工不良を起こすのでオススメできません。
このような下準備を徹底している業者を選ぶように気を付けましょう。
弊社では高圧洗浄などの塗装前の作業には非常に力を入れているため、施工後は長くきれいな仕上がりを保てます。
戸建て住宅以外に、アパートやハイツといった集合住宅の塗装工事も行えますので、大規模修繕工事を予定されておりましたらぜひ当方にご依頼ください。
また、施主様のご都合にもよりますが、外壁以外にも外構などの周辺部分を高圧洗浄でしっかりきれいにいたしますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。
工事に使用する高圧洗浄機は家庭用として売られているものよりも強い圧力が出せるので、汚れが取れなかった場所もきれいになるかもしれません。プロによる洗浄をぜひご利用ください。
